セイタカアワダチソウ 厄介者から精油の一滴へ
- tae Shirakata
- 8月13日
- 読了時間: 5分
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セイタカアワダチソウ
厄介者から精油の一滴へ
日本の新しい精油とボディマッサージ活用の可能性
先日、AEAJ(公益社団法人 日本アロマ環境協会)から届いたアロマ情報誌の中に、思わず目を止めた話題がありました。それは「セイタカアワダチソウ(Solidago altissima/Solidago canadensis)」から精油を産出しているという記事です。
セイタカアワダチソウと聞くと、すぐに思い浮かべるのは、秋に一面を黄色く染める草原の景色。…と同時に、「外来種」「繁殖力が強い」「花粉症の原因では?」といったあまり好意的ではない印象、、ではないでしょうか。私自身も、街の河川敷や空き地で勢いよく茂る姿を見て、正直「厄介者」というイメージを持っていました。
ところが、この植物から精油を抽出し、新しい精油として活用する動きが日本各地で始まっているのです。これは単なる「新しい香り」ではなく、地域資源活用、耕作放棄地の有効利用、そしてアロマセラピーの可能性拡大という、いくつもの価値を含んだ取り組みです。AEAJのチラシにも、その期待感が込められていました。
日本での取り組み
現在、島根県三瓶山のふもとなどで、耕作放棄地や野に群生するセイタカアワダチソウを採取し、水蒸気蒸留法で精油を抽出するプロジェクトが行われています。「SANBE Botanicals」や「さんべ商店」などが代表的で、地域の自然資源として商品化されています。こうして、かつては嫌われていた植物が「香りの資源」として新たな命を得ていることに驚きます。
精油の特徴と香り
セイタカアワダチソウの精油は、花・茎・葉をまとめて蒸留して作られます。
香りは意外にも甘く柔らかいだけでなく、土のようなアーシーさやスパイシーさを含んでいます。
「雑草」から想像する匂いとはまったく違い、森林の奥にある湿った土と、そこに咲く野花のニュアンスを同時に感じさせるような香りです。
個人的には、単品で使うより、柑橘やハーブ系とブレンドすると、香りに奥行きが出てとても面白い印象です。
成分と作用(学術研究より)
学術論文によると、セイタカアワダチソウ属(Solidago spp.)の精油には、
α-ピネン
β-ピネン
リモネン
ゲルマクレンD
ボルニルアセテート
などのモノテルペン・セスキテルペン類が含まれ、抗菌作用・抗酸化作用が示唆されています。
また、固有成分として「cis-dehydromatricaria ester(cis-DME)」があり、植物間での生育抑制(アレロパシー)に関与すると言われています。
この成分は人間にとって害と断定されたわけではありませんが、未知の作用もあり得るため、精油として使用する際は希釈濃度や対象者への配慮が必要です。
ボディマッサージでの活用
AEAJ情報誌や精油メーカーのガイドラインでは、キャリアオイルへの『希釈濃度は0.2〜1%』が推奨されています。
初めて使う場合は、必ずパッチテストを行い、肌の反応を確認しましょう。
香りの印象としては、リラックスよりも「深呼吸を促す落ち着き」や「足元を地につける感覚」に近いものを感じます。そのため、ボディマッサージでは以下のような場面で活用しやすいと思います。
心身を鎮め、地に足をつけたいとき
秋口〜初冬の切り替えシーズンに
メンタルが揺れやすい時期の安定感サポートに
ただし、敏感肌・妊娠中・高齢者などには慎重な使用が必要です。特に更年期世代でホルモン変動による皮膚の敏感さがある場合は、低濃度での試用がおすすめです。
「厄介者」から「地域資源」へ
セイタカアワダチソウは、繁殖力が強く、在来植物の生育を妨げるとして嫌われてきた歴史があります。しかし、こうして精油として利用する動きは、「ただの雑草」だった存在を、地域や人に価値をもたらす資源へと変えます。
植物に詳しい方の中には「そもそもセイタカアワダチソウは花粉症の原因じゃない」という話も有名ですね。花粉は重く、風で飛びにくいため、むしろブタクサなどと混同されてきた誤解もあります。
このように、植物の見方は、用途や文脈が変わるだけで大きく変化します。アロマテラピーはその好例であり、私たちセラピストは「植物との関係性を新しく紡ぎ直す」お手伝いができる、やはり魅力的な仕事です。
私のサロンで取り入れるなら
もし私がセイタカアワダチソウ精油をサロンで取り入れるとしたら、いきなり全身マッサージの主役にはせず、
フットマッサージのブレンドに少し加える
季節の香りとしてアロマストーンで香らせる
呼吸法や香りの瞑想に使う
といった「アクセント使い」から始めます。特に、精油とマインドフルネスを組み合わせた施術には、このアーシーで落ち着きのある香りが合いそうに思います。
今日のまとめ
セイタカアワダチソウ精油は、
日本発の新しい精油として注目されている。
抗菌・抗酸化などの可能性を持つ成分を含有。
ボディマッサージにも使えるが、希釈濃度や対象者に注意が必要である。
「雑草」というネガティブイメージを覆すポテンシャルがある。
AEAJ情報誌で知ったこの精油は、単に珍しい植物の香りというだけでなく、地域づくりや自然との関わり方を考えるきっかけにもなります。セラピストとしては、こうした新しい素材を知り、体験し、適切に使う知識と技術を持っておくことが、お客様への信頼につながると感じています。
厄介者と呼ばれる植物が、手のひらに収まる一滴になり、人を癒やす時間をつくる。この面白い変化は、アロマテラピーの奥深さであり、自然と共に生きる喜びではないでしょうか。
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