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母の不調と私の手

セラピストLIFEを楽しくする「tae Therapist School」

心・からだ・肌をアロマテラピーで整える

ホリスティックAromaサロン「tae Aromatherapy & Treatment」



母の不調と私の手


母の不調と私の手

― 家族と猫に教えられた「手当て」の原点 ―


この3月以降、母はサロンでのアロマテラピー・トリートメントを受けていません。

以前は月に一度、香りに包まれたサロンのマッサージテーブルで、トリートメントを楽しみに受けていた母です。でも今は、自宅のソファやベッドで、私が足を包み込むようにケアする30分ほどの短い時間が、母と娘の「いつもの時間」になっています。

母は来年一月に86歳になります。

体力も少しずつ落ち、歩く姿が以前よりゆっくりになりました。そんな母を見ていると、自然に「触れたい」という気持ちになります。

自宅では特別な準備はしません。

ゆったりと腰かけてもらい、足を包み込むように両手で優しく圧をかけていきます。呼吸を確かめ、緊張が解けるように、ゆっくりと手を動かしていく- この間、私はセラピストを志した原点、27年前に戻っていきます。




我が家の新しい家族、猫のいる時間

今年の春、我が家にやってきた猫は現在生後10か月になりました。

まだまだやんちゃですが、避妊手術を受けてから、大人なのか赤ちゃん返りしたのか。とにかく以前より抱かれることに抵抗がなくなりました。

猫は、母に常にまとわりついています。

日中は母の膝の上に丸まってお昼寝していることもあり、家の空気は柔らかくのんびりしています。


そして以前のように、自宅で精油を使うことは少なくなりました。

猫にとって精油は良いことばかりではないからです。

今は精油を使わずに“ドライ”でのマッサージをしています。

オイルの滑らかさや心地よい香りはないけれど、その分、

肌の温度や筋肉の張り、呼吸の深さがダイレクトに伝わってきます。


触れるリズムを呼吸にあわせ、母の手足から、ふっと力が抜けるのがしっかりと伝わってきます。




覗き込む、やんちゃな目線

私が母のケアを始めると、決まって猫がそばにやってきます。

私の手元を覗き込み、私の手を猫じゃらしと勘違いしたのか、ちょいちょいと触れてくることもあります。

母が気持ちよさそうに目を閉じていると、すぐに大人しくなり、母の顔をじっと見つめたりしています

母のそばで横になったり、遠くから眺めてみたり、彼女なりの気遣いを感じます。

柔らかな毛の感触と、まあるい目が、この空間を和ませてくれます。




“受けるだけ”ではないケア

母には、ただ横になってもらうだけでなく、

軽く足を動かしたり、指を握ったり、体を伸ばす動作などもお願いしています。

「ここを少し曲げてみよう」「つま先を上げて」

そんな声をかけると、母は嬉しそうに頷きながら動いてくれます。


高齢者にとって、能動的に少し動かすだけで、

血流や関節の可動性が変わります。

体が温まるにつれて、表情も穏やかに変化します。


毎回、母が言います。

「体がポカポカしてきた。楽になってきたから、もういいよ。」

オイルも精油の香りも使っていないけれど、

“手を当てる”だけで温かさが生まれる - これが「手当て」という言葉の原点なのだと考えさせられます。




セラピストである私の役割:あなたの「内なる力」の案内役

サロンでお客様に触れるとき、私はプロとして手技や精油の香り、身体の構造や圧の深さなどを細かく考えています。しかし母を前にすると、そうした思考がすっと消え、ただ「いま、この人を整えたい」という意図だけが残ります。

不思議なことに、手を当てる私自身の呼吸も深くなり、母の身体の変化とともに、

私自身の心も穏やかさが深まります。

“触れる”ことは、優しさの往復運動なのだと感じます。


実際、高齢者に対して15分ほどの手や足のマッサージを行うと、

心理的な安定やリラックスを示す脳波(α波)の増加が見られることが報告されています。

また、腹部手術後の高齢者に足底マッサージを行った研究では、

動くことへの恐怖感が減り、日常生活の動作が改善したという結果もあります。


施術を終えた日は、「ぐっすり眠れる」といつも報告してくれる母です。

かける言葉も大切ですが、年齢を重ねると、人や動物の温かさが身体に心に染み込むようです。

これは母の持つ回復する力が動き出すからだと感じています。




あなたの家にも、“手当て”の時間を

母へのケアを通して感じるのは、触れることが、その場の「空気」を変えるということです。

あなたの家ではどうでしょうか?

小さなお子さん、思春期で気難しくなったお子さん、

仕事で疲れきったパートナー、あるいは、自分自身へのケアかもしれません。


最初は勇気がいるかもしれませんし、ご自身も疲れているときは無理をしなくて大丈夫。

でもぜひ一度、優しく“手を当てて”みてください。

洋服の上からでも、そっと撫でるだけでも構いません。

そのぬくもりが、きっと誰かの心をほぐし、あなた自身の内側にも静かな優しさを広げていきます。


自分の心や体にも、少しだけ“手を当てる時間”をあげてください。

その優しさが、あなたのまわりの空気を、きっと変えていきます。




母の不調と私の手


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医学的・ホリスティックな視点に基づいたメニュー構成のアロマテラピー・トリートメント専門店です。


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