母の不調と私の手
- tae Shirakata

- 10月15日
- 読了時間: 5分
セラピストLIFEを楽しくする「tae Therapist School」
心・からだ・肌をアロマテラピーで整える
ホリスティックAromaサロン「tae Aromatherapy & Treatment」

母の不調と私の手
― 家族と猫に教えられた「手当て」の原点 ―
この3月以降、母はサロンでのアロマテラピー・トリートメントを受けていません。
以前は月に一度、香りに包まれたサロンのマッサージテーブルで、トリートメントを楽しみに受けていた母です。でも今は、自宅のソファやベッドで、私が足を包み込むようにケアする30分ほどの短い時間が、母と娘の「いつもの時間」になっています。
母は来年一月に86歳になります。
体力も少しずつ落ち、歩く姿が以前よりゆっくりになりました。そんな母を見ていると、自然に「触れたい」という気持ちになります。
自宅では特別な準備はしません。
ゆったりと腰かけてもらい、足を包み込むように両手で優しく圧をかけていきます。呼吸を確かめ、緊張が解けるように、ゆっくりと手を動かしていく- この間、私はセラピストを志した原点、27年前に戻っていきます。
我が家の新しい家族、猫のいる時間
今年の春、我が家にやってきた猫は現在生後10か月になりました。
まだまだやんちゃですが、避妊手術を受けてから、大人なのか赤ちゃん返りしたのか。とにかく以前より抱かれることに抵抗がなくなりました。
猫は、母に常にまとわりついています。
日中は母の膝の上に丸まってお昼寝していることもあり、家の空気は柔らかくのんびりしています。
そして以前のように、自宅で精油を使うことは少なくなりました。
猫にとって精油は良いことばかりではないからです。
今は精油を使わずに“ドライ”でのマッサージをしています。
オイルの滑らかさや心地よい香りはないけれど、その分、
肌の温度や筋肉の張り、呼吸の深さがダイレクトに伝わってきます。
触れるリズムを呼吸にあわせ、母の手足から、ふっと力が抜けるのがしっかりと伝わってきます。
覗き込む、やんちゃな目線
私が母のケアを始めると、決まって猫がそばにやってきます。
私の手元を覗き込み、私の手を猫じゃらしと勘違いしたのか、ちょいちょいと触れてくることもあります。
母が気持ちよさそうに目を閉じていると、すぐに大人しくなり、母の顔をじっと見つめたりしています。
母のそばで横になったり、遠くから眺めてみたり、彼女なりの気遣いを感じます。
柔らかな毛の感触と、まあるい目が、この空間を和ませてくれます。
“受けるだけ”ではないケア
母には、ただ横になってもらうだけでなく、
軽く足を動かしたり、指を握ったり、体を伸ばす動作などもお願いしています。
「ここを少し曲げてみよう」「つま先を上げて」
そんな声をかけると、母は嬉しそうに頷きながら動いてくれます。
高齢者にとって、能動的に少し動かすだけで、
血流や関節の可動性が変わります。
体が温まるにつれて、表情も穏やかに変化します。
毎回、母が言います。
「体がポカポカしてきた。楽になってきたから、もういいよ。」
オイルも精油の香りも使っていないけれど、
“手を当てる”だけで温かさが生まれる - これが「手当て」という言葉の原点なのだと考えさせられます。
セラピストである私の役割:あなたの「内なる力」の案内役
サロンでお客様に触れるとき、私はプロとして手技や精油の香り、身体の構造や圧の深さなどを細かく考えています。しかし母を前にすると、そうした思考がすっと消え、ただ「いま、この人を整えたい」という意図だけが残ります。
不思議なことに、手を当てる私自身の呼吸も深くなり、母の身体の変化とともに、
私自身の心も穏やかさが深まります。
“触れる”ことは、優しさの往復運動なのだと感じます。
実際、高齢者に対して15分ほどの手や足のマッサージを行うと、
心理的な安定やリラックスを示す脳波(α波)の増加が見られることが報告されています。
また、腹部手術後の高齢者に足底マッサージを行った研究では、
動くことへの恐怖感が減り、日常生活の動作が改善したという結果もあります。
施術を終えた日は、「ぐっすり眠れる」といつも報告してくれる母です。
かける言葉も大切ですが、年齢を重ねると、人や動物の温かさが身体に心に染み込むようです。
これは母の持つ回復する力が動き出すからだと感じています。
あなたの家にも、“手当て”の時間を
母へのケアを通して感じるのは、触れることが、その場の「空気」を変えるということです。
あなたの家ではどうでしょうか?
小さなお子さん、思春期で気難しくなったお子さん、
仕事で疲れきったパートナー、あるいは、自分自身へのケアかもしれません。
最初は勇気がいるかもしれませんし、ご自身も疲れているときは無理をしなくて大丈夫。
でもぜひ一度、優しく“手を当てて”みてください。
洋服の上からでも、そっと撫でるだけでも構いません。
そのぬくもりが、きっと誰かの心をほぐし、あなた自身の内側にも静かな優しさを広げていきます。
自分の心や体にも、少しだけ“手を当てる時間”をあげてください。
その優しさが、あなたのまわりの空気を、きっと変えていきます。
母の不調と私の手
年齢による体調の変化や、漠然とした不調(不定愁訴)を感じている
忙しさの中でも「美しさ」や「心地よさ」をあきらめたくない
自分ひとりで何とかしようと頑張りすぎてしまう
深くリラックスし、呼吸や自律神経を整えたい
血流を促し、肌や姿勢まで整えていきたい
時間を無駄にせず、効果的に整えたいと考えている
信頼できるプロに、自分のケアをゆだねたい
taearomaは、そんなあなたのための
医学的・ホリスティックな視点に基づいたメニュー構成のアロマテラピー・トリートメント専門店です。

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