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セラピストとして、「身体を知る」という学び

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大人バレエ 2年前の発表会照明合わせ

バレエを続ける理由

セラピストとして、「身体を知る」という学び



「バレエって、いつまで続けるの?」

先日、母にそう尋ねられました。

さらに、

「そろそろやめてもいいんじゃない?」

という言葉が続き、思わず私はこう答えました。

「死ぬまでやるつもりだよ」


我ながら極端な答えでしたが、そのときの心の中には、しっかりとそう思っている自分がいました。




バレエを始めたのはほんの数年前、随分と大人になってからです。

思えば、バレエとの出会いは「踊ること」以上に、「自分の身体を知ること」へと私を導いてくれたと感じています。今の私にとって、バレエは単なる趣味ではなく、仕事と深くつながる学びの手段となっています。




バレエ 他人と競うものではなく「自分と向き合う時間」

バレエというと、つい「美しく踊る」「柔らかくしなやかに動く」といった印象があるかもしれません。

もちろん、それも大切な要素ですが、私にとってはもっと内側のこと

「今日の自分の立ち方」

「呼吸の深さ」

「骨盤の傾き」

などを確かめるための時間になっています。



レッスンでは鏡を見ながら、

「今、私はちゃんと床を踏めているか」

「背中に呼吸が届いているか」

といったことを、常に自分に問いかけます。


この「気づく」という姿勢は、セラピストとしての施術にもそのまま活きています。




自分に気づく力が、身体を変えていく

身体の不調を改善したいとき、多くの方が「何かを変えよう」とします。

けれどその前に大切なのが、「今、自分がどうなっているのか」にしっかり気づくこと。


これは施術の現場でも、バレエのレッスンでも、まったく同じです。

✔ 自分の姿勢のクセに気づくこと

✔ 呼吸が浅くなっていることに気づくこと

✔ 無意識に力が入りすぎている部位に気づくこと

こうした微細な変化に意識を向けることで、身体は自然に整っていくのです。

逆に、自分を知らないまま無理に正そうとすると、かえって負担になってしまうこともあります。




セラピストの「観察力」は、動きから育まれる

施術のとき、私が最も大切にしているのは、「観察する目」と「感じ取る手」です。

お客様の呼吸の浅さや、筋肉の緊張、皮膚の温度、

身体全体の「まとまり感」

そういった目に見えない微細な情報を、静かに、しかし鋭く感じ取るようにしています。


それができるようになったのは、施術経験を積み重ねてきたこと、そしてバレエで動きの違和感に敏感になったことが、大きな影響を与えていると感じています。



たとえば、こんなふうに見えてくるのです:

・右肩を無意識に引き上げている人は、「頑張りすぎている」傾向がある

・足裏の緊張が強い方は、「上体を必死で支えている」可能性がある

動きのクセは、心や生活のクセとも深く結びついています。

なので、セラピストは『動く身体』を知っておく必要があるのだと思います。




「正す」よりも「気づく」ことから始める

レッスンでも施術でも、私はまず「今の状態を否定しない」ことを大切にしています。


  • バレエでは、「今日は足の裏が使えてないな」と気づいたら、そこから丁寧に重心を調整します。

  • 施術では、「呼吸が浅いな」と感じたら、タッチのリズムや圧を緩めて調整していきます。


いずれも共通しているのは、変えようとする前に、今の状態を尊重すること

この「観察から始まる姿勢」は、クライアントに対しても、自分自身に対してもとても大事だと感じています。




動きを知る感性は、施術の手ににじみ出る

お客様から「なんだか安心する」「手が気持ちいい」と言われるとき、それは単に手技の技術だけでなく、

「動きを理解している感性」が伝わっているからではないかと感じます。


静止した身体ではなく、日々動き、生きている身体に触れる。

そのために必要なのは、ソマティック・インテリジェンス(感覚的知性)

これは、「どう触れるか」だけでなく、「どう観て、どう感じるか」の知性です。

そしてそれを育てるのが、私にとってはバレエだったのです。




自分を知ることが、他者を深く理解する土台になる

人は、「自分のことはよく分かっているつもり」で生きています。

でも本当は、知らない自分がたくさんいます。


自分の今の状態を知らないまま変えようとすると、余計に遠回りになることもあります。

だから私は、身体を通して「自分を知る」ことを大切にしたい。

そうすることで、施術のときにも、お客様の身体の声をより繊細に受け取れるようになると感じています。

身体の奥にある「静かな声」に耳を傾けられるようになるのです。




バレエとトリートメント、ふたつの『手』を大切にする

ということで、母に「いつまでバレエやるの?」と聞かれたとき、笑いながら「死ぬまでやるよ」と答えたあの言葉は、実はとても自然なものでした。

それは、「動く身体を観察し続けたい」「この手で触れ続けたい」という、私自身の願いそのものなんです。


これからも私は、バレエと施術というふたつの手を、大切にしていきたいと思います。

どちらも、身体という奥深い世界に触れ、自分を知り、そして誰かのために働くことのできる道だからです。




もしこの文章が、誰かにとって「身体を知る」ことの魅力を伝えられたなら、とても嬉しく思います。

バレエを続ける理由。セラピストとして、「身体を知る」という学び。

そしてもし、「そんな手に触れてみたい」と思っていただけたなら、それは本当に光栄なことです。

これからも、静かに、深く、ていねいに。「観察する目」と「感じる手」を育て続けながら、セラピストとして歩んでいきたいと思います。




バレエとボディワーク(特にソマティック系技法)との相関性を示す学術・研究論文

 1. ソマティック・フィードバックがバレエに与える効果

https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/15290824.2024.2447561?src=

身体と心のつながりが強化され、機能的・表現的スキルの向上が確認された。


2. バレエ経験が知恵や冷静さに与える作用

https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371%2Fjournal.pone.0149369&utm_source=chatgpt.com

バレエ経験が長いほど「知恵(wisdom)」と正の相関が見られ、これは不安(trait anxiety)の軽減を通じたものと推察される。


3. ダンスにおけるソマティックの影響と効用

https://danceinteractive.jacobspillow.org/themes-essays/what-is-dance/performing-the-body-somatic-influences-in-dance/?utm_source=chatgpt.com

アレクサンダー・テクニークやフェルデンクライスなどの技法が、バレエをはじめとした舞踊訓練において普及しつつあることを論じています。 身体感覚の喜び、動きの効率性、探索的動きへの意欲などの要素が舞踊実践に深く影響していると分析されています。


「バレエ経験が深まると、単なる技術巧緻性ではなく、"知恵(wisdom)"への好影響が示されている」

「ソマティック・フィードバックの導入によって、身体‐心の接続が強まり、バレエの表現力や機能力が高まる」



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